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           契約の解除はこうして勝ち取れ!
       
クーリングオフ、支払い停止の抗弁、悪徳商法、取消、無効、解約

3 錯誤による無効 → 動機の錯誤に着目せよ

  契約が成立していても勘違い(錯誤)があると無効になる場合があります。  民法では法律行為
の要素に錯誤がある場合に意思表示は無効とされます(民法95条)。    
ただし、表意者に重過失があれば主張出来ません。
しかし、表意者に重過失があっても相手が悪意ならば、無効の主張は出来ます(民法95条但書)。
                         
 錯誤とは表示と内心的効果意思が不一致をいいます。   表示とは現実に表示された契約の
客観的な外形のことで内心的効果意思とは表意者の真意のことです。
 例えば、白くて塩に見えたので塩だと思って買ったら実際は砂糖だったという場合です。   砂糖を
買ったという契約の外形と塩を買ったという表意者の真意は一致していませんから、砂糖を買ったと
いう契約は錯誤により無効となって当然です。

 ところで、「半額セール、エルメスお買得」という掲示を見てエルメスだと思って買ったら、後でエセブラ
ンドだと分った場合はどうでしょう。  
 本物のエルメスと信じて買ったわけですから中身に関して錯誤があったことになります。   
これを一般に「性状の錯誤」と呼びます。   
  このように、エルメスを買うという表示では一致しているものの初めからエセブランドだ分っていたら
買わなかったという場合を、動機の錯誤といいます。
                         
 動機とは内心的効果意思を形成する以前の段階で発生して来る表意者の意欲です。   先の例
でいえば本物のエルメスと誤信して欲しいと思ったことが動機です。   そして、実際にはエセブランド
なのにそうとは認識していないのですから動機の錯誤があったことになります。

 
判例によれば、動機に錯誤があった場合、動機が表示されており動機が要素に関するもので
ある場合
に限り意思表示は無効とされます。
 その結果、動機の錯誤に関してはなかなか無効とはされない傾向にあります。  
しかし、消費者契約の場面では業者の勧誘行為が消費者の動機形成段階から関与して来ることが
多く、情報・交渉力の圧倒的な格差が埋められぬまま不当なセールストークによって購買動機が形成
された場合には動機の錯誤により無効を認めてもリスク分配の公平には反しないのではないか。
                         
 つまり、消費者契約法や特定商取引法では契約締結過程の情報・交渉力の格差の是正こそが
契約トラブルの予防になるとして、業者に情報提供義務を課しています。
 ですから、業者が情報提供義務に違反し、それが消費者の動機形成に影響し消費者の認識と実
際の表示との間に食違いが生じている場合には、消費者が動機を表示していなくても業者には
動機が表示されている(認識されている)と扱っても不合理ではないはずです。
 結局、業者の違反行為に起因する錯誤がなかったならば消費者は契約しないと考えられる場合
には錯誤により無効とすべきです。

   ☆ 主張の方法や理由付けが分らないという方は、当事務所まで是非ご相談下さい。    

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